豆腐根性

はたらくくるま @tfkjay

買い物と自己肯定

 買い物が苦手だ。

 

 先日、ストレス発散のためにパーッと買い物するぞ!と意気込んで街に出たものの、結局何も買わずに帰宅した。パーッと買い物といっても、せいぜい”普段より少しお値段高め”、または”無くてもいいけどあったら楽しい”スキンケア・ヘアケア用品を想定していた。しかし、それすらも買えなかった。事前におおよその目星をつけてお店をはしごしたが、道中で「それ本当に要るの?」と自問が始まる。商品を手に取っても決断できずに、そっと棚に戻して店を出た。

 

 昔から、欲しいものがあっても、購入に踏み切るまでに検討に検討を重ねてきた。熱しやすく冷めやすい性格を自覚していたからだ。毎回、己の物欲を見極める時間を設けることを心掛けている。大半のものは、この冷却期間のあいだに関心が薄くなり購入には至らないので、無駄な買い物をせずに済む。

 購入を断念する時、「今後、本当に欲しいものが出てきた時に思い切って使うために、今回は買わずに節約しよう」と、よく自分に言い聞かせている。この言葉のおかげで、今まで余分な買い物は控えることができた。でも、現在抱えている欲望よりも、より強いであろう未来の欲望を満たすために、前者を蔑ろにしているようにも感じる。目の前の欲しいものと、未来のまだ見ぬそれ。どっちも手に入れるほどの経済的余裕があればいいけれど、不安定な将来を思うと厳しい。

 

 検討項目には品質やコストパフォーマンスも含まれるが、最後の壁は「自分にはこれを買うほどの価値があるか否か」という部分だと気づいた。これを判断するとき、自己肯定感が影響していると感じる。自分の価値を低く見積もっていると、目の前の欲望に応えられない。本当に欲しいものを思い切って買うためにも、欲しいものを買う練習が必要ではないか。失敗も込みで買い物の経験を積むことが、いい買い物への近道なのだろう。お金なんてなんぼあってもいいが、節約ばかりではなく、ちゃんと自分の欲望を肯定していきたい。

 

 

 後日、”無くてもいいけどあったら楽しい”ヘッドマッサージ用のヘアブラシを購入した。アンミカさんがブラッシングで頭部の血流をよくするのが毎朝の習慣だとラジオで話していたので、真似している。実際やってみると、頭皮がぽかぽかするような感覚が気持ちよくて、楽しい。「ウチはアンミカやで~」と言いながらやると、もっと楽しい。いい買い物をした。