豆腐根性

はたらくくるま @tfkjay

あのあたり このあたり

 野村萬斎×杉本博司 狂言公演「あのあたり このあたり」を観た。野村萬斎の古参ファンである母を喜ばせたくてチケットを取った。会場近くでランチを食べながら、M-1グランプリ大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の話をする。先月から大学時代ぶりのひとり暮らしを始めたので、母とゆっくり話すのは久々だった。たった1ヶ月会わなかっただけで一緒に暮らしていた時の距離感が掴めず、最寄駅まで歩く間は会話のペースを探りながら話した。母も同じように感じていたかは分からない。

 

 チケットを取ったものの、狂言に関する知識がゼロに等しい。開演してまず最初に狂言の説明と今日の演目「川上」「茸」の解説があったので、狂言と能の違いもよく分かっていない私にとってはありがたかった。解説トークの中で「おのう」という単語が出てきた。しばらく文字に変換できず言葉を理解できなかったが、文脈から察するに、能に接頭語をつけた「お能」だと分かって笑ってしまった。丁寧な言葉は面白い。肉眼で演者の細かい表情を捉えるのは難しい座席だったので、数年前、Kis-My-Ft2の公演のために買った双眼鏡を持ってくればよかった。でも狂言の鑑賞スタイルとして双眼鏡はアリなのか?ちょっと無粋な気もする。

 「茸」は、幼い頃にウッチャンナンチャンがバラエティー番組の企画で挑戦していたのを観た記憶がうっすら残っていた。舞台上を何人もの茸がちょろちょろ動き回る様子は、とてもおかしくて面白い。幼い時の私の受け止め方は「キノコの格好をした大人がわらわら動いててウケる」くらいのものだった。しかし、あれから随分成長した今、実際に見ると、動きのおかしさだけじゃなくて、そのおかしさを表現するための体の動きの凄さにまで想像が及ぶようになった。どれだけ練習すれば、歩くのに必要な最低限の部位以外は全くブレずに動き回れるのか。めちゃくちゃプロじゃん!すげぇ〜!とアホみたいに感心した。生で観なきゃ分からない、感じ取れないことって必ずある。ワケ分かんなくても、一回は自分の目で直に見る方がいいよなぁと改めて思った。お能もいつか観に行きたい。

 

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ドリンクチケット上限金額ギリギリを攻めるためのどデカベンティー。半日かけて飲んだ。