1オーダー

    喫茶店でのドリンク1オーダー必須は当たり前に馴染んでいるけど、ごはん屋さんで油断することがある。

    金曜日。女王蜂のライブに行くため、ひとりで神戸にいた。なんやかんや月1くらいで神戸には行っている。基本土日祝に行くので、今日は平日しか営業してないお店に行ってみよう。ライブ前の腹ごしらえに、小さいビルの中の食堂にきた。店主が1人で切り盛りする、カウンターのみの数席しかないお店だ。

   中に入ると先客が2人。どちらも女性の1人客。店内はお出汁のようないい匂いが漂っていて、薄く音楽がかかっている。カウンター越しに店主が料理を作る様子がよく見える。思いのほか落ち着いた雰囲気で、かえって落ち着かない。席についてしばらくするとドリンクを聞かれた。ライブ前だしお酒はやめておこうと思い、｢いいです｣と答えると、一瞬の間の後に｢1オーダーいただいてます｣と言われた。しまった。やらかした。その時の店主さんの顔。職場で先輩に仕事の質問をされた時、｢〇〇ですね｣の一言に｢(なんでそんな当たり前のこと聞いてくんねん前も言うたぞメモせえ…)｣が滲み出てるわたしと顔面の筋肉の動きが同じだった。両サイドで料理を待つお客さんに｢常識を知らない恥ずかしい人…｣と思われていることを勝手に想像し、ソワソワがしばらく続いた。

    ご飯はとってもおいしかった。お値段は、きっとお店のゆったりとした雰囲気とか時間も込みなんだろう。高いなぁと感じてしまうジャリガキにはまだ早かったのね。ええ勉強になりました。