豆腐根性

はたらくくるま @tfkjay

ふりそで

 正月明け一発目の週末を3連休にしてくれる成人の日、とてもよくできていると思う。家にいてもやることが無いので、昼食を済ませてから駅前までお散歩した。移動中はラジオを聴くことが多い。最近は「真空ジェシカのラジオ父ちゃん」を追っている。川北さんのボケに翻弄されるガクさんの様が好きだ。

 駅周辺でスタバのカップを持ってうろうろする新成人グループを何組か見た。わたし自身は、成人式にもそれに付随する同窓会にも参加しなかった。当時は「バイト先でお着物を着ているから振袖に興味がない」「本当に会いたい友達にはいつでも会える」と周囲に話したような気がする。これは100%本心ではなく、振袖に関しては着たい気持ちが心の隅っこにいた。しかし、振袖レンタル業者からのDMを見た親から、「成人式のためによくこんな大金出すね~あんた別に行かないでしょ?」と言われた時に黙って蓋をした。イベントごとにあまり興味が無い両親だ。一人暮らしをさせてもらってる私立文系の身で、お金を出してと言えなかった。ただ、着たかったけど着れなかったで終わるとかわいそうだから、最初から興味がなかったことにした。女子にとって、振袖を着ずに参加する成人式なんて意味ないだろうと20歳のわたしは頑なだった。実際、フェイスブックを見ると、女子で振袖以外の格好をしている地元の知り合いは見なかった。華やかな振袖姿の同級生のなかで、みじめな思いをするのは嫌だ。かといって、費用を自分で工面するほどの情熱もない。その程度だった。そのくせに、あの時の気持ちを嚙み砕くのにえらく時間をかけてしまった。

 7年が経った今、もう一度あの時に戻れたとしても振袖を着たとは思えない。大金かけて振袖を着たって、成人式の写真を見るたびに着物のチョイスやメイクすべてに文句を言っていると思う。大学の卒業式では袴を着せてもらったが、写真にうつる自分の輪郭がもたついてるわ眉毛が変だわで恥ずかしい。めっちゃいい笑顔してるけどね!あれよりさらに野暮ったい20歳に振袖を着せたら、もっと不満が出てただろう。何十万もかけて、おべべに着られた芋ができあがってもな…。未来のわたしが振り返っても良かったと思えるような写真を撮れるコンディションを常に維持せねばと気を引き締める。

 非日常的な姿で写真を撮ることへの憧れは、まだ昇華できていない。就活の証明写真がお金を払って人に写真を撮ってもらった唯一の経験だ。直近で起こりうる、ちゃんとした写真を撮るような人生の節目イベントがおそらく結婚だけど、特に予定は立ってない。写真を撮るために結婚するのも変な話だし、自分で写真を撮りにいくのもアリかも。縁起でもないけど、自分の身に何かあった時の遺影にも使えるような。作家の雨宮まみさんが、40歳の誕生日にちょっとしたパーティーを開いた際に、プロフィール写真を資生堂のフォトスタジオで撮影した話を思い出す。あんな素敵な写真が撮れたら楽しそう。雨宮まみさんが亡くなってもう5年も経った。