豆腐根性

はたらくくるま @tfkjay

自撮りができない

自撮りできない病に悩んでいる。

 
別に自分が被写体になること自体には何の抵抗もない。相手から自撮りしようと言われれば快諾する。ただ、自ら携帯の自撮りアプリを起動し、腕をスッと伸ばし、ほんの数秒の間に自分の顔が一番よく写る角度や表情を探り、シャッターを切るという行為がスムーズにできないのだ。自撮りに限らず、おいしいランチとか、綺麗な景色とか、そういうものも撮れない。同行者が先に携帯を取り出して撮影し始めればそれに乗じて撮影することができるが、わたしが先陣を切る事はほとんど無い。どうも生きづらさを感じる。
 
自撮りができない理由として、まず単純にその場が楽しすぎると目の前のことに夢中になって写真を撮ることを忘れる。普通に忘れてしまう。楽しければ楽しいほど忘れるので、後で写真が無いことに気付いた時の後悔が大きい。
 
次に、何でもかんでも写真を撮る人間と思われたくないという自意識。たいして見直さないくせに、何でもかんでも写真に残す人間が苦手だ。わたしが写真を撮ることができない一番の原因は、写真を撮ることの主な目的を「SNSにアップするため」にしたくないという意地である。旅行先や何かのイベントであっても、携帯のカメラを構えてる最中に心のどこかでSNSにアップすることを考えてしまっている自分に気づいた途端、強い抵抗が生まれてしまう。あと周囲の他人がバシャバシャとシャッター音をたてているのを見ると、冷めてしまう。わたしがこれから撮ろうとしていた写真とほぼ同じものを他人も撮っていて、それらがSNSに何十枚何百枚も流れていくなら、もうわたしが撮る必要はないのでは、と。写真を添付するのが一般的なフェイスブックには向いてない性分だ。己の充実自慢の戦場で丸腰で立っている。勿論、インスタグラムはアカウントも作っていない。まことに生きづらさを感じる。
 
自撮りに関しても、旅行先やイベントでの写真は理解できるが、何でもない普通の日に何でもない場所で自撮りするという行為が理解できない。学校帰りに駅のホームで毎日顔を合わせている友人と自撮りをする大学生。訳が分からない。もっと訳が分からないのは、カップルが何でもない日に部屋で自撮りをしてSNSにアップするやつ。こういった自撮りを、わたしは日常切り取り系自撮りと呼んでいる。ベッドに横たわるカップルの寝顔自撮りはベストオブわけわかめ実際は起きているくせに、「すやすやと幸せそうに眠る私達」を演出しているのが見え見えで耐えられない。宿泊先の部屋の鏡で浴衣を着たカップルが肩を寄せ合って自撮りしてる写真なんて、「みなさん~!私たち、これからめちゃくちゃセックスしますよ~!」って宣言してるようなものだ。
 
自撮りができないなら、道行く人を適当に捕まえて写真を撮ってもらえばいいじゃんと思うが、それもきつい。ちゃんとしたデジカメやカメラでお願いするならまだしも、普通の携帯カメラなら自分で自撮りしろよって思われそうだから。これは考えすぎだという自覚があるけど、それでもそう思ってしまうので仕方がない。わたしが道行く人に「カメラお願いしてもいいですか?」と頼まれたら快く了承するけど、自分と他人が同じだと考えてはいけない・・・
 
あとは、これはわたしの技量の問題だが、自撮りでカメラを構えてシャッターを切るほんの数秒の間にイイ顔が作れない。みんな何で1秒でそんな表情作れるの?絶対に家で練習しただろ?
 
 
どうやったらこの問題を解決できるか考えたところ、先日この話を友人にしている最中に思いついたのだが、「人工衛星を使って24時間365日常に監視される中で、人工知能だかスーパーコンピューターだかが自動的にシャッターチャンスを判定して勝手にいい感じに写真を撮影してくれるサービス」みたいなものが開発されれば、自撮りどころか他撮りの必要もなくなって、本当の日常切り取り系写真が撮れるんじゃないだろうか。
 
 
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何を言っているのかわからなかった…