店員さんのお声掛け

特に目当てのモノもなく、ぶらぶらと買い物をしている時の｢店員さんの声かけ｣が苦手だ。

｢試着できますんで声掛けてください～｣レベルなら、ありがとうございます、の一言で終われるので問題ない。

｢何かお探しですか？｣も、見てるだけなので大丈夫です、で終われる。

その後に、営業トークに持ち込むためのきっかけ探しの雑談が続くパターンがとても苦手だ。

今日はコスメショップからポイント進呈のハガキが届いていたので、そのポイントを受け取るために店に行った。

ハガキを握りしめてレジに直行するのもアレなので少し店内をうろついていたら、(よく行く店というわけでは無いが)初めて見る店員のお姉さんに｢何かお探しですか？｣と声をかけられた。

なんとなく見てるだけなので(結構です)～と答えれば、大体の店員は放っておいてくれる。だが、お姉さんは食い下がって｢最近新しいのが入ったんですよ～｣と、やや強引に新商品のテスターを手の甲に塗ってくれた。

余談だが、恥ずかしいことに指毛の処理を怠っている状態だったので、綺麗なお姉さんに意識が低い己の手を見られるのはちょっと辛かった。

その後、わたしがその商品にあまり興味を示してないと見たお姉さんは、他の商品を勧めるきっかけ探しのための雑談を始めた。

だが、新人ぽいお姉さんの営業スキルの低さ、そして早く解放してほしいわたしの若干の素っ気なさが相まってか、会話がうまく進まない。

小学校で教えられて以来、｢人の話は目と耳で聞け｣を常に心掛けているが、会話が途切れるたびにわたしは浮かない表情で視線を斜め下にやってアピールをする。が、相手も負けじと会話を続けようと踏ん張る。

お姉さんがなんとかきっかけに辿り着くために話題の軌道修正をはかるも上手く行かず、ふわふわした会話が続く。

会話の最中、なんとか頑張って商品を勧めて購入してもらわなくては…という相手の気合いが伝わってきたのが余計にしんどかった。

でも、向こうもお仕事でやってるのだから邪険にするのもどうかと思ってしまい、いいえ結構です！ときっぱり言えない。

イヤホンをつけて音楽を聴いて(るふりをして)声掛けを回避するという人もいるが、そこまでやるとなんだか店員さんに悪い気がする。

多分、わたしは店員さんに優しい方の人間なのだろうと思う。

こういう中途半端な態度から、ちょっと強引に押せば買ってくれそうな客だと見られているのだろうか。

会話を途切らせまいとするお姉さんの懸命さに圧されて、完全にポイント交換の話を切り出すタイミングが分からなくなった。

さすがにもうキツいと感じ、意を決して、あたかも会話が途切れたその瞬間にふと思い出したような素振りでお姉さんにハガキを見せた時には10分が経過していた。

その時、お姉さんが一瞬見せた、すべて察したような表情に少し心が痛んだ。

本当の優しさって、何なんだろう…。