暇でよかった

　働き始めて四年が経った。一人暮らしをしたい気持ちを抱えながら、実家にて親に家事の一切をお任せする甘え切った生活を送っている。

　それでも、仕事から帰ってきて夕飯を食べた後、リビングのソファーに横たわると朝まで動けない日がある。もともと体力は無いほうだと自覚しているが、それにしても情けない。お風呂よりも睡眠を優先し、ものすごくきたなくてありえないほど臭いになっている日もある。幸い、コロナ対策で職場も常時マスク着用になったので、同僚にはバレていない。と信じたい。

　家事は親任せ。全力で打ち込める趣味はない。こういう人間が外出自粛で家にこもると、どうなるか。漠然と将来への不安を抱え、考えても仕方ないことばかり考えるようになり、自分で自分のメンタルを悪くする。なんせ暇で時間を持て余しているから。やることがないから、自分で悩みを見つけてきて悩むことで時間をつぶしている。なんと無為な時間。ごろごろ悩んでいるだけじゃもったいない。何か行動しなくてはと奮起し、去年、簿記3級を取った。

　大学時代に一度チャレンジしたことがある簿記3級。当時は、就活の履歴書に書くために挑戦したものの、モチベーションが低くて勉強が進まなかったので、受験料だけ払って受験せずに終わった。今回は、将来何かしらの理由で転職することになった時、少しでも選択肢を増やすために挑戦した。ポジティブまたはネガティブな何かしらの理由。現時点では、後者になる予感がする。実際に役に立つかは分からないまま、ぼんやりともしもの時の備えで臨んだ。曖昧な動機のわりには、よく頑張れたと思う。

　取り組むなかで大きなモチベーションになったのは、問題を解けるようになると自分に自信がつくことだった。まさに、問題を解く喜び。熱い塾講師が言いそうなワードで、我ながら笑ってしまう。でも、素直にうれしかったし、このうれしさが新鮮だった。

　今は2級を目指して勉強することで、時間をつぶしている。まだまだ、一人暮らしをする踏ん切りがつかないし、世の中が落ち着きそうな様子もない。直近に明るい未来が見えないから、未来のわたしがほんの少しでも楽をして頑張れるように、ごろごろしつつ、やれることからやっていくぞい。